和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
  【5類感染症】  第24週(6月13日〜6月19日)

 和歌山市では感染性胃腸炎が61件(定点当たり6.78)とやや減少傾向で、A群溶血性連鎖球菌咽頭炎も17件(定点当たり1.89)と減少傾向です。
 小幅な増減を繰り返している「水痘」ですが、和歌山市では32件(定点当たり3.56)と第23週と比べほぼ横ばいで、田辺管内では依然、注意報発令中です。例年報告数が増加する時期であるため、今後も注意が必要です。
 ぼちぼち夏かぜの流行のシーズンです。「ヘルパンギーナ」は新宮管内で17件(定点当たり8.50)で警報発令中、「咽頭結膜熱」が田辺管内で3件(定点当たり0.75)で警報継続されています。
 他には「流行性耳下腺炎」が御坊管内で7件(定点当たり3.50)、海南管内で6件(定点あたり3.00)で注意報発令となっています。


 2004年第50週以降に急増し、第52週293件とピークを迎え、以降、第53週244件、2005年では、第1週以降130〜160件で流行が持続しました。第8週以降110件前後にやや減少したものの横ばい状況で警報が継続発令されていましたが、第12週は87件に減少し、ようやく警報は解除されました。以降昨年の同時期よりも少ない傾向が続きましたが、第16週90件とやや増加し、第17週162件と今年最大の報告数となり、今後の動向に注目を集めました。
 第18週以降は漸減傾向となりましたが、第21週は136件と増加。しかしながら第24週では61件となり再び減少傾向です。 年齢別報告数では,年少幼児に集中しています。20歳以上のおとなでの報告はありません。県内および他府県で、修学旅行生等でノロウイルスによる集団感染事例が報告されており、注意が必要です。


 2005年第1週から第3週まで横ばい状況で警報が継続発令されていましたが、第5週で29件に減少、以降漸減してきていました。第17週で22件とやや上昇、第18週で11件と減少し、その後、増減を繰り返していますが第23週34件、第24週32件と増加に転じました。県内では、田辺管内で17件(定点あたり4.25)の報告があり注意報が発令されています。
 年齢別の報告数をみますと,殆どが就学前の年少乳幼児です。
 第19週のIDWRでは「定点あたりの報告数は大きく増加」となっています。第16週のIDWRでは、「2004年の定点医療機関からの総報告数は246,655例であったが、1999年4月に感染症法が施行されて以来、大きな変動はない。例年第19〜24週頃に小さなピークを形成し、これから6月にかけて罹患者数が増加すると予想されるが、新年度となり、感受性者の割合が増加している保育施設などの乳幼児の集団生活施設では、特に注意が必要である」とされています。


 和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件の報告があるのみとなっています。
 しかし第17・18週IDWRでは「注目すべき感染症」に麻疹がとりあげられ、「2001年の全国的流行があって以来、報告数は減少を続けており2005年では今までのところ2004年よりさらに報告数は減少している。しかし発生の中心となる1歳児の麻疹抗体保有率は2003年度において61.9%であり麻疹の発生を恒常的に抑制できるとは考え難く、また最近の麻疹の発生数の減少によって麻疹ウイルス暴露の機会が減少しているためブースター効果の低減がワクチン既接種者の免疫減衰を招くことも危惧される。現状のままでは近い将来において再び麻疹の局地的、あるいは全国的な流行が生じる可能性もあり、その際には1歳を中心とした乳幼児のみならず、思春期以降の比較的高年齢層において集団発生や流行が生じる可能性が高い」とのことです。
 和歌山県・市では麻疹の全数把握事業を実施していますが、5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。例年であればこれから麻疹の発生が増加してくる時期でもあり今後の動向に注意が必要です。


 和歌山市では、第1週以降10件前後で増減していましたが、第18週は17件、第19週は24件と、警報発令には至りませんでしたが増加傾向を示していました。第20週は9件に減少し、その後小幅な増減をしており第24週には14件と再びやや増加しています。第15週IDWRでは、「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」とあり、今後の動向に注意が必要です。
県内では、御坊管内で7件(定点あたり3.50)の報告があり、先週に引き続き注意報発令となっています。また、海南管区内で6件(定点あたり3.00)の報告があり、注意報発令されています。
第19週IDWRでは「定点当たりの報告数は大きく増加」となっています。


 2005年にはいり、例年よりやや報告数が多い状況が持続していましたが、第20週に23件(定点当たり2.56)と過去5年間で最多の報告数となりました。その後第21週は大きく減少し9件、第22週も9件と減少傾向にありましたが、第23週は29件と過去5年間での最多の報告となりました。第24週では17件と減少していますが、今後の動向に注意が必要です。


 手足口病は、2000年に大流行しました。例年は3大夏風邪のひとつとして夏場に流行するのですが、2004年は、夏にあまり流行せず,涼しくなってから報告が増加しました。
 2005年では、第11週・第12週に17件と同数でやや増加の傾向でしたが、第13週以降漸減しています。第24週は9件でした。
 第17・18週IDWRの病原体情報では「2004年は第22週以降、A群コクサッキーウイルス16型(CA16)とエンテロウイルス71型(EV71)の検出が増加したが、CA16が主流となり、年末近くまで検出が続いた。2005年に入ってからもCA16の検出が散発的に続いている。CA16は9府県から、EV71は北海道から報告されている。」とのことです。


 和歌山市では第20週8件、第21週10件、第22週8件、第23週11件、第24週17件の報告で、過去5年間の同時期と比較して特に多くはなく、横這いが続いています。しかし県内では新宮管内で17件(定点あたり8.50)の報告があり警報継続中となっています。
 まもなく流行の時期を迎えます。今後の動向に注意が必要です。
第19週IDWRより、「定点当り報告数は第12週以降、増加が続き、過去5年間の同時期と比較してもやや多い」とされています。


 昨年早期に流行した「咽頭結膜熱」ですが、2005年は第1週以降2件から5件の報告で横ばい状況です。第24週は1件の報告でした。
第19週IDWRでは「定点当たり報告数は増加し、2005年第1週以降では最高値となったが、過去5年間の同時期と比較してもやや多い」となっています。
 県内では田辺管内で3件(定点当たり0.75)の報告があり、警報継続中となっています。
「咽頭結膜熱」は「プール熱」とも言われ、「ヘルパンギーナ」、「手足口病」とともに3大夏かぜの1つです。今後の動向に注意しましょう。


 第13週以降報告のなかったマイコプラズマ肺炎でしたが、第18週で1件(定点当たり0.33)報告されて以来、第19・20週と続けて4件(定点当たり1.33)、第22週で2件(定点当たり0.67)の報告があり、今後の動向が注目されましたが、第23・24週の報告はありませんでした。引き続き今後に注目が必要です。
第19週IDWRより、「マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。」となっています。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


  小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
  患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
  一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
  感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
  非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


  感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。麻しんや風しんの予防接種は,いずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間にかかりつけ医で接種できます。

  麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。

  和歌山市の1歳6か月児健診及び3歳児健診を受診された子どもさんの予防接種実施状況をみますと,麻しんでは,1歳6か月で約80%,3歳6か月で92%。風疹では1歳6か月で約42%,3歳6か月で79%のお子さんが接種済みとなっています。  麻しん・風しんの流行防止及び先天性風疹症候群を発生防止のため,今後,さらに早期接種の徹底を推進したいと思います。

「お誕生日を迎えたら,かかりつけ医で麻しんの予防接種をうけましょう!」

「麻しん」の予防接種の後は,引き続き「風しん」の予防接種をうけましょう!

  また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

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