和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
　

【5類感染症】　第36週（9月5日〜9月11日）
残暑は依然として厳しいものの、朝夕はだいぶ涼しくなってきました。5類感染症全体としては目立った動きはありませんが、咽頭結膜熱は和歌山市では流行はみられないものの、和歌山県全体では警報が発令されている管内が複数あり注意が必要です。また、全国的には感染性胃腸炎が増加傾向にあります。


　 夏風邪の代表の「ヘルパンギーナ」ですが、和歌山市ではここ数週は1ケタの報告でしたが、今週も9件の報告のみでした。
　 第34週のIDWRでも「ヘルパンギーナの定点あたり報告数は第28週以降、減少が続いている」とあります。
和歌山におけるヘルパンギーナの流行状況



　 「咽頭結膜熱」の和歌山市の発生動向ですが、夏場もめだった流行はみられないまま第36週も2件の報告があるのみでした。ただ、新宮管内で第33〜35週に警報が発令されていましたが、第36週にても2件（定点あたり1.00）の報告があり引き続き警報が発令されています。
　 全国的な動向について、第34週のIDWRでは「咽頭結膜熱の定点あたり報告数は3週連続して減少した」とのことです。
和歌山市における咽頭結膜熱の流行状況



　3大夏風邪のひとつであり、2000年に大流行した「手足口病」ですが、2004年は夏をすぎて、涼しくなってから報告が増加しました。2005年では、第26週は23件に増加したのを最後に減少傾向に、ここ最近は横ばい傾向でしたが、第36週も6件の報告と横ばい傾向が続いています。
和歌山市おける手足口病の流行状況



　「感染性胃腸炎」は年末年始に大流行し、秋は最も報告数は減少します。和歌山市でも第34〜36週の報告件数は39件、38件、34件とわずかではありますが減少してきています。
　 年齢別報告数では、小児が中心となりますが、どの年齢でも発生の報告はあります。
　 ただ、第34週のIDWRでは「感染性胃腸炎の定点あたり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い」、とのことです。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



　「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」（第15週IDWR）と予想され、第19週IDWRでは「定点当たりの報告数は大きく増加」とのことでした。
　 和歌山市でも第33週に注意報が発令され、全体的には増加傾向でしたが、第34〜36週ではそれぞれ15件、18件、13件の報告とほぼ横ばいです。ただ、県内では、高野口管内で第33〜35週にかけて注意報が発令されており、第36週でも19件（定点あたり4.75）と引き続いて注意報が発令されています。その他、第36週では海南管内で8件（定点あたり4.00）、岩出管内で12件（定点あたり3.00）の報告があり、それぞれの管内で注意報が発令されました。 全国的には「流行性耳下腺炎の定点あたりの報告数は減少した」（第34週IDWR）とのことです。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



2005年は第1週から第3週まで警報が発令されていましたが、以降は減少傾向にあり、ここ最近の発症数は10件前後で推移、第36週は6件の報告でした。 年齢別の報告数をみますと、殆どが就学前の年少乳幼児です。
和歌山市における水痘の流行状況



　和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件、第33週に岩出管内で1件の報告があるのみです。
　 なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。また6月6日〜9月4日では麻疹の報告は県内で1件でした。
  和歌山市 和歌山県
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 1 1 6
6月6日 〜 7月31日 0 0 0 2
7月4日 〜 7月31日 0 0 0 0
8月1日 〜 9月4日 0 0 1 1



　第13週以降報告のなかった「マイコプラズマ肺炎」でしたが、第18週で1件、第19・20週と続けて4件、第22週で2件の報告があり、今後の動向が注目されていました。以降散発的な発症報告がありましたが、ここ最近の4週は発症報告がありません。ただ、岩出管内では第33週に1件、第35週に1件、第36週にも2件（定点あたり2.00）の報告があります。
　 全国的な動向ですが、第34週IDWRでは「マイコプラズマは胃炎の定点あたり報告数は減少した」とありますが、第33週IDWRにて「今後は冬季に向けてマイコプラズマ肺炎の発生報告が増加していくものと考えられるため、その発生動向には注意が必要である」とあり、今後注意が必要と考えます。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


　 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は，2004年に一部の地域（群馬県，大分県，鹿児島県，宮城県，埼玉県など）で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件，定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
　 患者の年齢別では，2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため，実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
　 一方，ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し，出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で，通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
　 感染症法では，「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが，いままで1年に1例以内だったのが，2004では，第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

　 また，「風疹」は，和歌山市内では，2004年1年間で計7件の報告でした。
　 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また，流行阻止のために，男女とも，ワクチン接種歴がなく，罹患もしていない人は，男女とも予防接種（任意接種）を受けることが望まれます。
　なお，妊娠可能な女性については，ワクチン接種後２か月間の避妊が必要です。

Stop　麻しん・風しん　=　「予防接種」は最も有効で積極的な予防法！！


予防接種法施行令の一部が改正されました。


　感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。　麻しんや風しんの予防接種は，現行ではいずれも満１歳〜満7歳６か月になるまでの間の１回接種でしたが、改正後、平成１８年４月１日より、麻しん、風しんでは次のようになります。

第１期の予防接種　満１歳〜満２歳になるまでの間
第２期の予防接種　満５歳〜７歳未満で、小学校入学日の１年前の日から小学校入学 前日までの間
　 いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を２回施行します。

　 現在，満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで，麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか，もしくは両方を未接種の場合は，平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。

　 麻疹の予防接種の標準接種月齢（＝最も適切な接種時期）は，「生後12月から15月（満1歳３か月）」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく，かつ重症になるため、満１歳になったら，できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。

　 また，7歳６か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では，任意接種（有料）になりますが，大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。
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