和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【3類感染症】第40週(10月3日〜10月9日)
【腸管出血性大腸菌感染症】
  第37週から第39週まで3週連続で腸管出血性大腸菌感染症の届出がありましたが、第40週にも5名の届出がありました。1名は70代女性で腹痛を主訴に医療機関受診し、そちらでO157と判明しました。単独発症でした。残りの4名においては2歳の幼児がまず最初に発熱、下痢を発症し、医療機関でO157と判明。その家族も3名が陽性でした。
  全国的に例年集団発生が発生が多くみられる保育施設もふくめ、各種施設における集団発生や死亡の報告がなされています。例年報告は秋に入っても引き続き多くみられるので、今後も注意が必要です。そのため、食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切です。また、保育施設においては特にオムツ交換時の手洗い、園児に対する食前・食後の手洗いの指導の徹底、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要があります。

【4類感染症】第40週(10月3日〜10月9日)
【ウエストナイル熱】
  先日、新聞やテレビなどでよく報道されていたのでご存じの方も多いかも知れませんが、今般、我が国で初めてウエストナイル熱流行地域からの入国者で輸入感染症例が確認されました。
  患者は30歳男性であり、平成17年8月28日から9月4日まで米国内(ロサンゼルス)に滞在しておりました。帰国後に発熱、頭痛、その後発疹が出現したとのことです。医療機関での診断は、「帰国前に滞在した米国内においてウエストナイル熱に感染した可能性が高いと判断される」とのことでした。
  ウエストナイル熱の分布は、アフリカ、中近東、西アジア、ヨーロッパ、北アメリカとなっており、好発時期は夏季と言われています。 感染経路としては、ウエストナイルウイルス感染蚊(イエカ、ヤブカ等)に刺されることで感染し、症状は突然の発熱(39度以上)、頭痛、筋肉痛、発疹など。さらに重篤化すると脳炎を発症し意識障害、痙攣などの症状を呈することもあります。

★ウエストナイルウイルスは、ヒト―蚊―ヒト感染、ヒト―ヒト感染することはない。また、感染した患者から感染が拡大することはない。
★2次感染予防・感染の管理→ウエストナイルウイルスに対するワクチンはなく、予防法としては、ウイルス侵淫地域では蚊との接触を避けること。


【5類感染症】第40週(10月3日〜10月9日)
  ここ最近、朝晩はめっきり肌寒さを感じるようになりました。まさに季節の変わり目という感じであり、体調を崩されている方も多いのではないでしょうか。
  今週の和歌山市の感染症傾向です。5類感染症では、流行性耳下腺炎は1名の減少が見られ、これまで続いた増加傾向に歯止めが掛かったかと思われますが、和歌山市では引き続き注意報が出ています。今週の届出は42例で、あと3例出れば警報が発令されるという事態であり未だ予断を許さない状況です。
  他に目立った動きはとすれば、季節が秋になってきたということもあり、夏かぜの代表であるヘルパンギーナ、手足口病が減少してきたことです。 また今週、13週以来ずっと報告されていなかったRSウイルス感染症が1例報告されました。 今後、冬季にむっかって増加していく危険性があります。   その他、和歌山市での増加はみられませんが、新宮市で水痘が9例報告され定点当たり4.50と注意報が出ています。


 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
  和歌山市でも第33週に一度注意報が発令されました。そして第38週に再度注意報が発令され、今週も継続しています。今回は70歳代の報告もありましたが年齢別報告数では、2歳から7歳に集中しており、保育所や幼稚園、小学校低学年での初感染のようです。
  県内では、先週まで発令されていた高野口管内と古座管内の注意報はなくなり(定点あたり2.50、1.00)今週は和歌山市のみとなってますが、引き続き注意が必要です。 全国的には「流行性耳下腺炎の定点あたりの報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い」(第37週IDWR)との報告です。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 夏かぜの代表の「ヘルパンギーナ」ですが、今週は1例の報告のみでした。 第37週のIDWRでも「ヘルパンギーナの定点あたり報告数は第28週以降、減少が続いている」との報告です。やはり夏かぜは夏を過ぎると減少していくのが実感できます。
和歌山におけるヘルパンギーナの流行状況



 「咽頭結膜熱」の和歌山市の発生動向です。36から38週の感染報告例はなかったのですが、先週は1例(岩出管内では2例)の報告がありました。しかし今週は再び報告0に戻りました。目立った流行は認められておりません。特に警報も発令されていません 全国的な動向について、第38週のIDWRでも定点当たり報告数は減少したとのことですが、今後もくすぶり続ける可能性もありますので注意が必要です。
和歌山市における咽頭結膜熱の流行状況



 ヘルパンギーナと並ぶ夏かぜの代表格である手足口病ですが、2005年では、第26週は23例に増加したのを最後に減少傾向に、ここ最近ほぼ横ばい傾向です。第39週は9例と微増しましたが、今週は6例報告と33週〜38週の横ばいに戻りました。IDWR第38週では定点当たりの報告数は減少したとのことで、今後も減少〜横ばいとなることが考えられます。
和歌山市おける手足口病の流行状況



「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。市内でも全国でもやや横ばい傾向にあります。 年齢別報告数では、やはり小児が中心となりますが、多くの年齢で発生の報告はあります。 ちなみに全国的には、IDWR第38週で定点当たり報告数は減少したとのことです。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 最近では第23週の34件をピークに徐々に減少を認め、第27週頃から第35週までは10件程度の報告で横ばいでした。その後は今週に至るまで10件以内で横ばい状態です。 IDWR第38週では全国的にも定点あたり報告数は微増となっておりますが、今後も微増、微減が続くでしょう。 年齢別の報告数をみますと、就学前の年少乳幼児ばかりです。
和歌山市における水痘の流行状況



 和歌山市では2005年に入ってからまだ発生の報告はなく、県内でも第2週に新宮管内と高野口管内で各1件、第7週に田辺管内で2件、第11週に高野口管内で1件、第21週に高野口管内で1件、第24週に高野口管内で1件、第33週に岩出管内で1件の報告があるのみです。
  なお、和歌山県・市では麻疹と風疹の全数把握事業を実施しています。5月2日〜6月5日で麻疹の報告は県内で1件、和歌山市で0件でした。また6月6日〜9月4日では麻疹の報告は県内で1件でした。
  和歌山市 和歌山県
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4 1 6
6月6日 〜 7月31日 0 0 0 2
7月4日 〜 7月31日 0 0 0 1
8月1日 〜 9月4日 0 0 1 1
9月5日〜10月2日 0 0 0 0



第13週以降、報告の無かったRSウイルス感染症が久々に1例報告されました。 流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。  ロタウイルス胃腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症なので、これからの季節は増加していく可能性が十分あるので注意が必要です。
和歌山市におけるRS感染症の流行状況



 第13週以降報告のなかった「マイコプラズマ肺炎」でしたが、第18週で1件、第19・20週と続けて4件、第22週で2件の報告があり、今後の動向が注目されていました。以降散発的な発症報告がありましたが、ここ最近の6週は発症報告がありません。
  しかしながら全国的な動向では、第36週IDWRでは「マイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数は微減した。」とあり、第33週IDWRにて「今後は冬季に向けてマイコプラズマ肺炎の発生報告が増加していくものと考えられるため、その発生動向には注意が必要である」とあり、今後注意が必要と考えます。
和歌山市におけるマイコプラズマ肺炎の流行状況

風しんと先天性風しん症候群の予防について


  小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
  患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
  一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
  感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

  また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年1年間で計7件の報告でした。
  非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


予防接種法施行令の一部が改正されました。


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種ですが、時期が一部改正されました。 麻しんや風しんの予防接種は,現行ではいずれも満1歳〜満7歳6か月になるまでの間の1回接種でしたが、改正後、平成18年4月1日より、麻しん、風しんでは次のようになります。

第1期の予防接種 満1歳〜満2歳になるまでの間
第2期の予防接種 満5歳〜7歳未満で、小学校入学日の1年前の日から小学校入学 前日までの間
  いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を2回施行します。

  現在,満1歳以上7歳6か月未満のお子さんで,麻しんまたは風しんの予防接種のいずれか,もしくは両方を未接種の場合は,平成18年3月31日までに早めに接種を済ませましょう。

  麻疹の予防接種の標準接種月齢(=最も適切な接種時期)は,「生後12月から15月(満1歳3か月)」です。麻しんは1歳ごろがもっとも罹患しやすく,かつ重症になるため、満1歳になったら,できるだけ早い時期に予防接種を受けましょう。

  また,7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人では,任意接種(有料)になりますが,大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

| 過去の注目の感染症 | リンク | 感染性胃腸炎 | 水痘 | ヘルパンギーナ |