和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 
【3類感染症】 6月5日までに計7件の届出,今後増加が予想されます!
 3類感染症である腸管出血性大腸菌感染症が6月5日届出分を含め,計7件となっています。
  届出日:4月13日:幼児(男性),5月19日:30代(女性),5月24日:幼児(女性),5月26日:60代(女性),6月5日:20代(男性)と患者届出が計5名,患者の家族から無症状病原体保有者2名の計7名となっています。症状は,下痢(水様便),血便が特徴で,腹痛,発熱,一部に嘔吐を伴っています。患者のうち2名は入院加療しました。いずれも、抗菌剤によく反応し,合併症なく回復しています。全例O157で、VT(ベロ毒素)の型別では,VT1が1名,VT2が1名,VT1VT2が5名です。喫食調査では,特に原因と思われそうなエピソードもない事例が多いのですが,生肝の喫食の事例もあります。
  全国的にも,今後,増加が予想されています。食品の衛生管理や調理には充分に留意し,生ものは避け,手洗いを徹底しましょう。また,下痢等の症状があった場合には,早めに医療機関を受診しましょう。また,便で汚染された下着等は,ハイターや熱湯で消毒し,他の衣類とは別に洗濯しましょう。


【5類感染症】 第22週(5月29日〜6月4日)
  第22週の和歌山市の5類感染症の発生状況です。
  咽頭結膜熱は第7週12件(定点当たり1.33)の報告があり,以降警報が継続発令されています。第22週14件に増加しています。今後,流行期を迎えます。
  流行性耳下腺炎は,第10週58件に増加し警報発令,以降横ばいに近い状況で流行が続いていましたが,第22週16件と先週よりさらに減少し,流行の終息の模様です。
  水痘は,第20週33件とやや増加の傾向で、第22週は49件とさらに増加しています。現在和歌山市保健所管内で注意報を発令中と今後も要注意です。
  また、A型溶血性レンサ球菌咽頭炎は第9週33件をピークに,以降減少していました。第20週23件とやや増加し、第22週は25件と依然発生件数が多いままで注意が必要です。


 IDWR第20週より,咽頭結膜熱の定点当たり報告数は3週連続増加し,過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっていると、報告されています。病原体情報では,2006年では,アデノウィルス3型が最も多く46%,2型が32%,1型8%,5型8%,6型4%です。例年50%以上を占める3型がやや少なく,2型が多い状況です。  
  和歌山では,第7週に県内では和歌山市が12件(定点当たり1.33)、岩出管内で7件(定点当たり1.75)と増加し、警報発令となりました。以降,和歌山市では,第8週から第12週まで10から11件と横ばい状況でしたが,第13週7件,第14週3件,第15週3件と減少した後,第16週には9件、第17週には15件,第21週14件、第22週14件です。気温も上昇し,水遊びのシーズンを迎えるとともに,咽頭結膜熱も流行期に入りますので、十分に注意が必要です。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ、アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。症状は咽頭炎、結膜炎、発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いのでこまめに手洗い・うがいを行い、他人とのタオルの共有はやめてください。学校保健法で主要症状消退後2日経過しないと登校できないとされていますので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられている。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
  和歌山市でも、2005年の第42週に警報が発令されました。その後、増減を繰り返して2006年にはいっています。
  2006年では、第7週42件と再増加し,以後,警報が継続発令されており,流行が続いていました。第19週28件,第20週24件,第21週18件、第22週16件と減少し,例年並みの報告に落ち着きました。流行は終息した模様です。
  年齢別報告数では、第22週では3〜4歳にピークがあり,3歳から14歳までの報告がありました。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
年齢別報告数



 増減を繰り返しつつ,第11週42件で,注意報は発令後,第12週から第18週まで20件前後に減少し横ばい状況でしたが,第19週29件,第20週33件、第22週49件と増加傾向にあり注意が必要です。
  年齢別報告数では、第22週では3〜4歳にピークがみられていますが,6〜11か月の乳児、10〜14歳の少年にも報告がありました。
和歌山市における水痘の流行状況
年齢別報告数



 第9週33件に急増しましたが,第10週以降は20件から10件前後で推移しています。第20週23件,第22週は25件と全体的に例年と比較してやや多い状況が続いております。若干報告数が増加する時機ですが,現在のところ,増減しつつも例年よりやや多い程度で,今のところ,特に流行の兆しはありません。
  この感染症では、治療が十分に行われないと腎炎、リウマチ熱を発症することがあるので、早期診断、適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように、冬季〜春先に大流行し、秋は最も報告数は減少します。
  和歌山市での2006年の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後,第4週から第7週は180〜190件とやや減少,第8週から第11週は140件前後で足踏み状態でしたが,第12週には,89件に減少し,以降,100件以内でほぼ例年並の報告数となりました。 第22週では63件でした。
  流行期は過ぎたものの,小児に見られる感染症では、やはり,年間を通じて最も報告数の多い感染症です。
  年齢別では,就学前の幼児で多く報告されています。
  IDWR第19週病原体情報では,殆どが,ノロウィルスGUで,2,036件が分離報告され、GTは計136件の報告となっています。サポウィルスが60件,ロタウィルスは第2週以降増加し,第9週がピーク。殆どがA群ロタウィルスで第17週までに523件検出されています。また,C群ロタウィルスは計18件が報告されています。この他,小学校・福祉・養護施設で,C群ロタウィルスの集団感染事例が報告されています。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
年齢別報告数



 なぜこの時期にインフルエンザ?と思う方も多いと思いますが、インフルエンザは年中身近なところにあります。そして人間の体力が弱まり、感染できる状態になったとき一気に流行するのです。
  今全国各地で流行しているのはB型のインフルエンザで、一番流行している北海道では2006年6月までにのべ200クラス以上が学級閉鎖に追いやられています。昨年冬にはやったA香港型とは異なるため、免疫を持たない人が多いのです。第20週には日高町及び有田市の小中学校2校で集団かぜによる学級閉鎖が報告されており、インフルエンザB型と診断された者がいるようです。 手洗い・うがいとともに、人ごみは避けるようにしましょう。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より、麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜5月28日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 13件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。麻疹は空気感染するため,ゴールデンウィークの人の移動により全国に広がる可能性があるとして,注意を促しています。ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの、接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
   第1期  満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
   第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
        いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。

  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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