和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 


【5類感染症】 第31週(7月31日〜8月06日)
  第31週の和歌山市の5類感染症の発生状況です。
  咽頭結膜熱は第7週9件(定点当たり1)の報告以降,依然警報発令中です。第26週〜第28週は横ばいでしたが,第29週には16件に増加し、第31週は12件と依然多くなっています。
  ヘルパンギーナは県全域にわたり依然警報発令中です。例年20週後半から30週にピークを迎えており、本年も第28週の144件をピークに第29週65件、第30週39件、第31週17と減少しており、今年もピークは過ぎたと思われますが、引き続き注意が必要です。
  手足口病は増加しています。例年20週前半から増加を始め、20週後半に報告数のピークが見られることが多く、本年も第26週,第27週は20件,第28週は22件,第29週は17件とほぼ横ばいでしたが第30週は37件と大きく増加しています。第31週は15件と減少傾向ですが現在がピークと思われ、注意が必要です。
  流行性耳下腺炎は,第10週に58件に増加し警報発令,第21週18件と減少したものの,第23週では30件と増加し和歌山市保健所管内に注意報が発令されました。第25週に15件と全体的に終息の兆しが見られ、第28週以降は横ばいで第31週19件となっています。
  水痘は,第23週に30件となり和歌山市保健所管内の注意報は解除されました。第25週は21件と少し減少しましたが,第26週では24件,第27週では30件と増加しました。第28週は19件、第29週は23件、第30週は14件、第31週は23件と増減しながらも今週は増加しています。


  地域別では和歌山市、岩出、御坊、田辺、串本の各保健所管内に警報が発令されています。和歌山市保健所管内については、定点当たりの報告数は1.33であり、警報基準値の2.0を下回っていますが、警報解除基準値の0.1を上回っているため警報が継続されています。  
  国内の咽頭結膜炎の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第28週)によると「過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が継続している。」と報告されています。
  今後しばらくは充分に注意が必要です。和歌山市保健所管内は年齢別では,1歳に1名,2歳に3名、3歳に2名,4歳に1名、5歳に2名,7歳・8歳・9歳に各1名ずつ報告されています。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ,アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。咽頭炎,結膜炎,発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いことから,主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 ヘルパンギーナは県全域にわたり警報発令中です。例年,20週後半から30週にピークを迎えており、本年も第28週の144件をピークに第29週65件、第30週39件、第31週17件と減少しており、今年もピークは過ぎたと思われますが、引き続き注意が必要です。年齢別では6ヶ月〜5歳の乳幼児が9割をしめています。
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況
年齢別報告数



 手足口病は例年、20週前半から増加を始め、20週後半に報告数のピークが見られることが多いです。本年も和歌山市保健所管内での発生は第28週22件,第29週17件、第30週は37件と大きく増加していましたが、第31週は15件と減少しています。県内では警報が発令されている地域もあり、患者発生のピークの時期に入っていると思われますので引き続き注意してください。
和歌山市における手足口病の流行状況
年齢別報告数



 「流行性耳下腺炎」は「約4年ごとに増える傾向がみられています。2005年には報告数が増加する可能性が高い」(第15週IDWR)と予想されていました。
  和歌山市でも,2005年の第42週に警報が発令されました。その後,増減を繰り返して2006年にはいっています。
  2006年では第7週42件に増加し,以後警報が継続発令されており,流行が続いていました。第19週以降,20件前後の報告数でやや落ち着きつつありましたが,第23週30件と増加し注意報が発令されました。第25週では24件,第26週は15件と減少し、以後はほぼ横ばいで第31週は19件となっています。 年齢別報告数では,1〜6歳にピークがありました。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況
年齢別報告数



 増減を繰り返しつつ,第11週42件で,注意報発令後,第12週から第27週まで20件〜30件後半と例年並み〜やや多めで推移していましたが、第28週は19件、第29週は23件、第30週は14件、第31週は23件と増減しながらも今週は増加しています。 年齢別報告数では第31週は1歳〜5歳に分布しています。
和歌山市における水痘の流行状況
年齢別報告数



 第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し、全体的に例年よりやや多い状況が続いていました。第28週は5件,第29週は7件、第30週は2件と一桁になっており、現在のところ,特に流行の兆しはありません。
  この感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行し,秋は最も報告数は減少します。
  和歌山市での2006年の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後,第4週から第11週まで140〜190件とやや多めでしたが,第12週には,89件に減少し,以降,100件以内でほぼ例年並の報告数となりました。第26週からは30〜40件台で推移し、第31週は40件となっています。
  流行期は過ぎたものの,小児に見られる感染症では,やはり年間を通じて最も報告数の多い感染症です。 年齢別では乳児から14歳まで幅広く報告されています。
  IDWR第19週病原体情報では,殆どが,ノロウィルスGUで,2,036件が分離報告され,GTは計136件の報告となっています。サポウィルスが60件,ロタウィルスは第2週以降増加し,第9週がピーク。殆どがA群ロタウィルスで第17週までに523件検出されています。また,C群ロタウィルスは計18件が報告されています。この他,小学校・福祉・養護施設で,C群ロタウィルスの集団感染事例が報告されています。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
年齢別報告数



 なぜこの時期にインフルエンザ?と思う方も多いと思いますが,インフルエンザは身近なところにあります。そして人間の体力が弱まり,感染できる状態になった時,一気に流行するのです。今全国各地で流行しているのはB型のインフルエンザで,一番流行している北海道では2006年6月までにのべ200クラス以上が学級閉鎖に追いやられています。昨年冬に流行ったA香港型とは異なるため,免疫を持たない人が多いのです。第20週には日高川町及び有田市の小中学校2校で集団風邪による学級閉鎖が報告されており,インフルエンザB型と診断された者がいるようです。和歌山市保健所管内においては第27週は3件,第28週は2件,第29週は1件、第30週は2件と横ばいでしたが、第31週は0件となっています。念のため引き続き注意してください。


 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より、麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜5月28日 0 0 0 0
5月29日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜8月6日 0 0 0 2件
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。麻疹は空気感染するため,ゴールデンウィークの人の移動により全国に広がる可能性があるとして,注意を促しています。ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの、接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
   第1期  満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
   第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
        いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。

  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

| 過去の注目の感染症 | トップページに戻る |