和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第37週(9月11日〜9月17日)
  第37週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
  咽頭結膜熱は第34週3件、第35週3件、第36週1件、第37週5件で市内では今シーズンの流行は終息の模様です。県内では前週より若干減少しています。和歌山市、岩出・御坊・田辺管内で警報発令は継続しています。和歌山市・田辺市・御坊保健所管内では警報基準値未満で推移し、岩出保健所管内については報告数は減少したものの依然警報基準値を上回っています。
  ヘルパンギーナは第34週6件、第35週1件、第36週4件、第37週4件と流行は終息の模様です。
  手足口病は、第32週18件から、第34週4件、第35週1件と減少していましたが第36週9件、第37週14件とやや増加しています。県内での警報発令はありません。
  流行性耳下腺炎・水痘は、減少傾向であり経過は例年並です。
  伝染性紅班は、新宮保健所管内で前週より減少(定点当たり3.00名→1.50名)したものの警報は継続しています。国内の伝染性紅班の報告数は過去5年の同時期と比較してかなり多いとされていますが、県全体・市内では現在のところ増加は認めていません。
  基幹定点疾患は第37週はいずれも認めておりません。


  国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第35週)によると「定点当たり報告数は第31週(7/31-8/6)以降、減少が続いているが過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されています。
  県全体でも、第23週(6/5-6/11)に最も多い報告(定点あたり1.68名)があり、以降増減しながら推移、第35週には0.38名まで減少していましたが、第36週には0.68名に増加しました。第37週は0.60名と若干減少しています。
  和歌山市では、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降に減少傾向となり、第36週は1件と減少しましたが、第37週は5件と増加しています。和歌山市は警報基準値未満で推移していますが引き続き警報が発令されています。
  咽頭結膜熱はプール熱とも呼ばれ,アデノウイルスによる飛沫感染,接触感染が原因です。咽頭炎,結膜炎,発熱を起こします。潜伏期間5〜7日,有症状期間は3〜5日です。伝染力が極めて強いことから,主要症状消退後2日経過しないと登校できないので注意してください。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 今年の和歌山県における流行は終息に向かっています。今年は第21週(5/22-5/28)から増加を始め、第27週(7/3-7/9)に患者報告数のピーク(定点当たり11.58名)がありましたが減少し、第37週は0.27名でした。
  和歌山市でも第28週(7/10-7/16)の144件(定点当り16.00名)をピークに漸減し、第35週には1件(定点あたり0.13名)まで減少、今回第37週は4件(定点当たり0.44)で流行はほぼ終息と思われます。
和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況



 国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第34週8/21-8/27)によると「定点当たり報告数は第31週(7/31-8/6)以降、減少が続いている」と報告されています。
  県内でも同様に推移し第30週(7/24-7/30)に最も多い報告数(定点当たり3.77名)を記録して以降減少が続いていましたが前週(第35週)・今週(第36週)は連続して増加し、今週(第37週)は横ばいです。
  和歌山市では第30週の37件をピークに漸減、第34週4件、第35週には1件まで減少しましたが、今回第37週は14件(定点当たり1.44)とやや増加をみています。 現在県内において警報の発令されている地域はありません。
和歌山市における手足口病の流行状況



  流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
  和歌山市では,2005年の第42週に警報が発令され,以降増減を繰り返して2006年に入っています。 2006年では第7週42件と増加,以後警報が継続発令され流行が続いていました。第19週以降20件前後の報告数で、増減は認めるものの徐々に減少傾向でした。第35週には12件、第36週12件、第37週14件と若干減少しながら横ばいです。経過としてはほぼ例年並みとなっています。
和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



 増減を繰り返しつつ,第11週42件で注意報発令後,第22週の50件をピークに漸減。第34週は13件、第35週は9件、第36週6件、第37週13件と横ばいであり例年並の流行状況となっています。年齢別報告数では第37週は6ヶ月〜8歳に分布しています。
和歌山市における水痘の流行状況



 第9週33件に急増,第10週〜第27週は10件〜20件前後で推移し全体的に例年よりやや多い状況が続いていました。23週頃より減少傾向となっており、第30週以降1、2件と報告が少ない状況が続き、第37週は2件でした。
  本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。
和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



 「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウイルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行しますが,これから秋の時期は報告数の少ない時期となってきます。
  和歌山市での本年度の状況は,第2週に253件(定点当り28.11)に急増,その後第4週から第11週まで140〜190件と例年に比しやや多めで経過しましたが,第12週には89件に減少,以降100件以内でほぼ例年並の報告数となりました。第26週からは30〜40件台で推移しており、第37週は35件(定点当たり3.89)です。
  年齢別では第37週は、乳幼児から14歳まで幅広い年齢層で報告されています。
  流行期は過ぎたものの小児に見られる感染症で、やはり年間を通じて最も報告数の多い感染症です。
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



 今年は、6月・7月に地域的な小流行が認められ、定点報告でも和歌山市では第27週は3件,第28週は2件,第29週は1件、第30週は2件と少数報告が続いていましたが、第31週以降0が続いています。第37週も報告を認めませんでした。
  なぜ夏期にインフルエンザ?と思う方も多いと思いますが,インフルエンザは身近なところにあります。そして人間の体力が弱まり,感染できる状態になった時,一気に流行するのです。今年全国各地で流行したのはB型のインフルエンザです。昨年冬に流行ったA香港型とは異なるため,免疫を持たない人が多いのです。県内でも、第20週には日高川町及び有田市の小中学校2校で集団風邪による学級閉鎖が報告されており,インフルエンザB型と診断された者がいたようです。


 和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。 第37週に和歌山県での報告はありません。
  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜5月28日 0 0 0 0
5月29日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜8月27日 0 0 0 0
8月28日〜9月3日 0 0 0 0
9月4日〜9月10日 0 0 0 0
9月11日〜9月17日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

 茨城県,千葉県で4月〜5月に麻疹が集団発生しています。
  ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。
   第1期  満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
   第2期 満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回
        いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれか一方のワクチンのみを接種している場合や,いずれかに罹患した場合には,任意接種になりますが,公費で麻しんもしくは風しんの単抗原ワクチンを接種できます。

  また、7歳6か月を過ぎた方でまだ予防接種を受けていない人は、任意接種(有料)になりますが、大きくなってから罹患することを予防するためにも接種することをお勧めします。かかりつけ医にご相談ください。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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