和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第17週(4月23日〜4月29日)

第17週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。
インフルエンザは完全終息せず、報告が続く。感染性胃腸炎は再び増加傾向で、要注意です!
インフルエンザの今シーズンは,例年と比較し非常に遅い流行でした。第11週に537件(定点当り35.8)でピークを迎えましたが,第14週では82件に減少、以降第15週54件、第16週58件、第17週39件(定点当り2.6)と終息傾向ですが、例年のピーク後のような完全終息はせず、少数報告が継続している状況です。県内の警報・注意報は第14週に全て解除されています。
一方、感染性胃腸炎は、第9週161件(定点当り17.89)に急増し、第10週179件,第11週187件(定点当り20.78)と増加し警報発令されました。第14週は80件(定点当り8.89)に減少し一旦警報は解除されましたが、第15週には118件(定点当り13.11)と再び増加、第16週は150件と更に増加しました。第17週は119件(定点当り13.22)とやや減少したものの、多い状況が続いています。まだまだ充分な注意が必要です。
また,水痘は例年よりやや多い状況が続いていましたが、第15週は18件に減少し注意報解除しました。第16週は19件、第17週は22件でした。
他の感染症は全体に報告が少ない状況となっています。
関東の一部の地域で流行している麻しんは、現在、和歌山では発生が認められていません。
眼科定点,基幹定点は、報告なしでした。



2006-2007年の今シーズンは、流行の時期が遅く、患者数も少ない状況ですが、第11週537件(定点当り35.8)をピークに,第8週から第13週まで警報が発令されました。第14週には82件(定点当り5.47)に減少,第15週はさらに54件(定点当り3.6)に減少し、今シーズンの流行は終息とみられましたが、例年のように急速な終息は見られず、第16週では58件(定点当り3.87)とむしろ増加し、第17週も39件(定点当り2.6)と報告が続いている状況です。
県内全ての地域で警報・注意報は解除されています。
年齢別では、小学生中心に報告されています。
インフルエンザの予防には,流行前に予防接種を受けるだけでなく、日頃からの健康管理、うがい、手洗い励行など基本的な生活習慣を大切にして予防に心がけましょう。また、人出の多いところへの外出はできるだけ避け、外出時や咳症状がある時はマスクを着用しましょう。

インフルエンザ
インフルエンザ



「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。2006年は、全国的に例年より立ち上がりが早く、第46週時点で1定点あたり19.80と1981年の調査開始以来最高を記録しました。
和歌山市でも、2006年は、第49週に373件(定点当り41.44)と過去最高の報告数となり,第46週から52週まで警報発令が続きました。
2007年第1週では58件(定点当り6.44)まで減少し、警報は解除され,以降、ほぼ横ばい状況が続いており、過去8年間の中でも最も少ない状況が続いていましたが、第9週161件,第10週179件,第11週187件(定点当り20.78)と増加が続き、警報が発令されました。第14週に80件(定点当り8.89)に減少し、ようやく警報は解除されましたが、第15週には118件(定点当り13.11)と再び増加、第16週は150件(定点当り16.67)と更に増加し、警報ラインに近づいている状況です。第17週は119件(定点当り13.22)とやや減少しましたが、多い状況が続いています。
県内でも、和歌山市が突出して多い状況です。
IDWR第15週の病原体情報では、2006/2007年シーズンでは、ノロウィルスGUが3,267件、GTが48件、サポウィルスが62件報告されています。また、A群ロタウィルスは230件報告されています。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止に心がけましょう。
年齢別では、就学前の幼児と小学生で報告が見られます。

和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況
和歌山市における感染性胃腸炎の流行状況



RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。
2006年では、第45週に3件の報告から増加し、第50週33件、第51週44件、第52週35件と流行が続きました。
2007年では、増減を繰り返しなかなか終息しませんでしたが,第10週以降5件以下に落ち着き,第15週3件、第16週1件(0-5か月)、第17週0件でほぼ終息です。

和歌山市におけるヘルパンギーナの流行状況



2007年は、第7週46件(定点当り5.11)に急増し、警報が発令されました。過去最高の報告数でした。以後,急速に減少し,第14週には2件(定点当り0.22)で,過去と比較しても非常に少ない報告数となりました。第15週は12件、第16週14件、第17週8件(定点当り0.89)と増減していますが、ほぼ例年並の報告数となっています。
本感染症では,治療が十分に行われないと腎炎,リウマチ熱を発症することがあるので,早期診断,適切な治療が特に必要とされています。

和歌山市におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行状況



2007年第1週では74件(定点当り8.22)に急増し、警報が発令されました。以降,増減しつつ,漸減傾向でした。第14週には41件(定点当り4.56)と再増加し,再度注意報発令されましたが、第15週は18件(定点当り2)に減少し注意報は解除されました。第16週は19件、第17週22件(定点当り2.44)と例年並です。
年齢別では,乳幼児が中心で、小学生にも報告が認められています。

和歌山市における水痘の流行状況
和歌山市における水痘の流行状況



2006年は,国内の咽頭結膜熱の報告数については、国立感染症研究所が発刊するIDWR(2006年第42週)によると「定点当たり報告数は微増し、過去5年の同時期と比較してかなり多い状態が続いている」と報告されていました。
和歌山市でも、第23週23件(定点当り2.56)をピークに、以降10件前後で推移、第32週以降は減少しましたが、年間通じて数件の報告がみられました。
2007年では,1件から5件で推移しています。第14週、第15週とも3件、第16週は1件(8歳)、第17週は0件でした。

和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では,2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。
2007年では1〜11件の間で、第17週は2件(1歳・2歳)(定点当り0.22)と少ない状況が続いています。

和歌山市における流行性耳下腺炎の流行状況



和歌山県・市では,感染症発生動向調査と並行し,2005年5月より,麻しんと風しんの全数把握事業を実施しています。それぞれの報告数は次の表のとおりです。
和歌山市内では、2005年6月以降、麻しん・風しんとも報告はありませんでした。
2007年第17週も報告なしです。
IDWR第15週では、全国の小児科定点薬3,000か所からの麻しんの報告数は34件(定点当り0.01)で、前週の32件をやや上回りました。関東地域からの報告が中心で、東京都10、埼玉県9、神奈川県・茨城県から各3、香川県2、秋田県・栃木県・新潟県・長野県・愛知県・鹿児島県で各1です。関東地域からの総報告数は27と多くを占めています。
2007年第1週以降の累積報告数は216で、埼玉県79、東京都38、千葉県15、愛知県・神奈川県14、大阪府10と大都市圏からの報告が目立ちます。累積報告数の年齢別割合では、10〜14歳(28.4%)、0歳(17.1%)、1歳(17.1%)、8〜9歳(9.5%)の順でした。昨年と比較し、0歳、1歳児を中心とした乳幼児の割合が減少し、10〜14歳を中心とした比較的年長者の割合が増加しています。
一方、第15週の全国約450か所の基幹定点からの成人麻しん(15歳以上)の報告数は14(定点当り0.03)で、2004年以降最多であった第13週の報告数11を更に上回りました。第1週から第15週までの累積報告数は61で、東京都26、神奈川県9、宮城県8、埼玉県6、茨城県4と東京等や神奈川県を中心とした関東地域や宮城県からの報告が多くなっています。累積報告の年齢別割合では、20〜24歳(34.9%)、25〜29歳(22.2%)、15〜19歳(19.0%)で20代の報告数が半数以上を占めています。
ゴールデンウィークに入ることで、地域的な流行が拡大する可能性が危惧されています。
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、カタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。

  和歌山市 和歌山県(和歌山市分含む)
麻疹 風疹 麻疹 風疹
5月2日 〜 6月5日 0 4件(5,8,36,47歳 1件(11か月 6件(市+1,45歳
6月6日〜7月3日 0 0 0 2(16歳
7月4日〜7月31日 0 0 0 1件(33歳
8月1日〜9月4日 0 0 1件(2歳) 1件(37歳
9月5日〜10月2日 0 0 0 0
10月3日〜11月6日 0 0 0 2件(20,22歳
11月7日〜12月4日 0 0 0 0
12月5日〜1月1日 0 0 0 1件(1歳
1月2日〜4月9日 0 0 0 0
4月10日〜4月16日 0 0 1件(1歳 0
4月17日〜7月9日 0 0 0 0
7月10日〜7月16日 0 0 0 2件
7月17日〜12月31日 0 0 0 0
2007年1月1日〜4月29日 0 0 0 0
累計 0 4件 3件 15件
(注) 赤字:ワクチン接種歴なし,青字:ワクチン接種歴あり,緑字:接種歴不明

ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。ワクチン未接種でまだかかってない人は至急ワクチン接種をしましょう。



Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!


平成18年4月1日より新制度がスタート⇒6月2日より一部改正


 感染症対策で最も有効な予防法は予防接種です。
 麻しんや風しんの予防接種は、平成18年4月1日より、次のようになります。

第1期 
満1歳〜満2歳になるまでの間に1回

第2期 
満5歳〜7歳未満で、 小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回いずれも、「麻しん風しん混合ワクチン」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。

 満1歳から満2歳未満のお子さんで,麻しんもしくは風しんのいずれかに罹患した場合には,他方を単抗原ワクチンで接種できます。6月2日以降,このような場合も,定期接種の扱いとなります。

  また,小学校入学前の1年間(3月31日まで)には,麻しん風しん混合ワクチン,もしくは,麻しん単抗原ワクチン及び風しん単抗原ワクチンを第2期として接種しましょう。
  この場合,接種歴に関係なく,上記ワクチンを接種できます。ただし,罹患歴がある場合には,接種できません。

風しんと先天性風しん症候群の予防について


 小児科定点からの全国の「風しん」患者数は,2004年に一部の地域(群馬県,大分県,鹿児島県,宮城県,埼玉県など)で多く報告されました。全国3000の小児科定点医療機関から第20週243件,定点当り0.08人の報告で感染症法施行以降最高値となりました。
 患者の年齢別では,2004年では以前と比較して10〜14歳及び20歳以上の割合が明らかに大きくなっています。これらは小児科定点からの報告であるため,実際の成人の風疹罹患数はより多い可能性があります。
 一方,ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」「白内障または緑内障」「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に1例以内だったのが,2004では,第51週までで9例の報告がありました。和歌山市内で「先天性風疹症候群」の報告はありません。

 また,「風疹」は,和歌山市内では、2004年7件,2005年4件の報告でした。
 非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,男女とも,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。

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