和歌山市感染症情報センター

今、注目の感染症
 

【5類感染症:定点把握】 第48週(11月24日〜11月30日)

2008年第48週の和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。



第46週の7件から第47週の24件、第48週は25件と増加を認めております。乳幼児を中心に、児童生徒から成人にわたる幅広い年齢層に分布しています。
 県内では、湯浅管内、岩出管内および和歌山市内で患者数がめだっています。警報はまだ発令されていませんが、インフルエンザの患者数はいったん増加し始めると急激に増加しますので注意が必要です。インフルエンザの流行は例年1〜3月にありますが、昨年は10月ごろ(40週後半)から患者報告が増え始め、12月後半(第51週)に流行のピークがありました。今年の流行も非常に早いです。
今後、うがい、手洗いによる感染予防を心がけましょう。また、咳・くしゃみが出たら他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう(「咳エチケット」)。
 高齢者、小児における重症化予防にワクチンが有効です。65歳以上の方、あるいは60〜65歳の方で心臓、腎臓、呼吸器などに重篤な基礎疾患をもつ方を除いては任意接種になりますが、本格的シーズンとなる12月までにぜひ接種をご検討ください。

ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット
 


「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。例年40週後半を過ぎた当たりから急激に増加を始め年末にピークを迎えます。
2008年前期は、前年と類似の推移を示しており、第11週191件をピークに流行し、第13週以降は100件前後の報告が続いていました。第25週ごろから減少し第33週頃より安定して年間で最も少ない時期を迎えています。
年齢別では、乳幼児から15歳までに集中しています。
日常生活における予防としては、「手洗い」「うがい」励行などを日ごろより心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をして下さい。
ノロウィルスには塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。乳幼児や高齢者等集団生活の場では、感染拡大の防止を心がけましょう。




まだ患者数は多くありません。第47週9件、第48週2件の報告となっています。RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。乳幼児で鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
昨シーズンは第50週:20件と急増し、第52週には24件と2007年末に流行のピークを迎えました。2008年に入り、第10週以降は1〜2件、第16週は0件と流行は一旦終息しました。しかし、第17週に再び4件報告があり、その後も1桁台ではありますが継続して報告があります。
例年第45週前後から報告数が増加しており、今後流行のシーズンになっていくものと思われます。うがい、手洗いによる感染予防を行いましょう。
また、初発時は発症して1週〜10日間ほどはウイルスが気道分泌物内に存在しており、手や持ち物を介しての集団発生も認められるため、感染者がいる場合は接触を避けることも重要です。




第46週は16件、第47週18件、第48週31件と増加傾向を認めています。今後報告数の増加が懸念されます。年齢別には3〜5才児を中心に罹患しています。例年45週以降の流行を認めているため任意接種を希望されるかたはなるべく早く接種されることをお勧めします。




2008年に入り、第5週に27件に急増、その後徐々に減少し10件前後で推移していたものの、第20週頃より再び20件前後の報告が続いた後、第25週より減少し、例年通り二峰性のピークを描きました。第33週以降は週あたり0〜4件の報告にとどまっていました。第48週は10件と報告数は少なめですが、今後注意が必要です。
本感染症では、治療が十分に行われないと劇的に重症化したり、腎炎、リウマチ熱など重篤な合併症を発症することがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が特に必要とされています。劇症型感染の発症機序が明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありませんが、突然の発熱、筋肉痛を呈する、特に高齢者では医療機関の早期受診を心がけましょう。



流行性耳下腺炎は約4年ごとに増える傾向がみられています。
和歌山市では、2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、第19週以降漸減しています。2007年では第15週までの期間1〜11件を推移していましたが、その後は5件以下と非常に少ない状況が続きました。
2008年も同様に少ない状況が続いています。第27週以降10件前後と一時的に増加傾向でしたが、第33週以降減少し、週数件程度の報告にとどまっており、第48週も2件の報告でした。


2008年は、全国的には流行し、第19〜22週に最も報告が多く、過去最高でした。以降減少し、IDWR第30週ではピークの1/4の定点あたり0.04まで減少しましたが、IDWR第44週では定点あたり0.05と2週連続で増加しています。過去5年間の同時期と比較するとまだかなり多い状況が続いております。また、IDWR第24週では、年齢別で0歳児12.7%ですが、20歳以上が37.5%を占めており、10-14歳も15.9%と年長者での報告が多いのが今年の特徴です。和歌山県は報告が少ない状況が続いています。
和歌山市では、第17週に初めて1件(15-19歳)の報告がありました。第18〜21週は報告なし、第22週再び1件(20-29歳)、第23週には2件(9歳、10-14歳)の報告がありました。第24〜26週は報告がなく、その後は1件ずつの報告が散見されます。



過去5年間は5件以内の報告でしたが、第30週では8件と急増、その後第34週まで流行しましたが、その後は週4件以内の報告に留まっています。第46週・47週とも2件でした。




第46週で72歳の破傷風の報告が1件ありました。破傷風菌は土壌など自然界に広く存在しており、小さくて深い損傷などの不潔な外傷により感染をおこします。感染肢や首の硬直感、開口しにくいといった症状が初発症状です。早期処置が重要ですので症状が出現した時には早急な医療機関受診が必要な疾患です。罹患しやすい年齢はありません。怪我をしたときには十分消毒をすることも重要ですが、破傷風に関しては生後3ヶ月から7歳まで3回の1期DPT定期予防接種と11歳から12歳の2期DT予防接種があります。




【麻しん・風しん】 (第5類感染症全数把握) 第10〜48週

麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは、第10週に2件報告があり、以後第17週まで報告が続きました。第18〜22週は0件でしたが、第23週、第30週、第42週、第46週に各々1件ずつで計23件です。

風疹は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告(定点報告)で、以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。


<和歌山市の状況>
2007年 和歌山市において第19〜23週にかけて、計10件報告がありました。成人の3件はいずれもワクチン接種歴不明、小児は6件がワクチン接種なし、1件がワクチン接種済みでした。

  2008年の年齢別、週別の届出状況は次のとおりです。 (平成20年11月20日現在)
  年齢区分
0歳 1-4 5-9 10-14 15-19 20-24 25-29 30-34
10週 3/3-       1 1       2
11週 3/10-       1         1
12週 3/17-   1   2 2     1 6
13週 3/24-         3       3
14週 3/31-   1 1 1         3
15週 4/7-                 0
16週 4/14-       1         1
17週 4/21-   2           1 3
18〜22週 4/28-                 0
23週 6/2-   1             1
24週〜 6/9-                 0
30週 7/21-     1           1
42週 10/13-   1             1
46週 11/10-       1         1
0 6 2 7 6 0 0 1 23

中学生の罹患が8件ありましたが、7件は同じ中学校の生徒です。このうち1件は平成12年に予防接種をしていました。また、中学生1件、1歳児1件は、患者との接触後に緊急接種をしましたが、間に合わず発症しました。他はいずれも接種歴なしです。30歳代の1件は接種歴不明でした。第17週に1歳児罹患の報告が2件ありましたが、1件は接種歴なし、1件は接種後1年以内で発病したものでした。40歳代の1件は罹患既往歴がありました。第30週、第42週、第46週の件は接種歴あり、修飾麻しんの診断です。

「麻しん」と臨床診断されるまで、内科や皮膚科等複数の医療機関を受診している事例もあり、診断精度の向上が求められます。

<麻しんの特徴等>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていきます。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウィルスの排出の可能性があります。
なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。

<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となります。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。

<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過しているため、抗体価が低下して場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。

また、発熱等の症状があった場合には、医療機関を受診し、診断をうけましょう。発熱等があるときに無理して職場や学校等へ行くことは、感染性の疾患であった場合、感染拡大につながりますので控えてください。


Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!

麻しんや風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
  第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
  第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回

いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。平成18年度の第2期の接種率は70%程度です。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。目標は95%以上。第2期を忘れず接種しましょう。 「麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されます。
  第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
  第4期  高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種

いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。

風しんと先天性風しん症候群の予防について

 ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウィルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,いままで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告がありました。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。
なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。


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