和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center
ジカウイルス感染症(ジカ熱)
 中南米を中心に、ジカ熱の感染が多数報告されています。
 ジカ熱はデング熱などと同様に蚊が媒介して感染します。また、ジカ熱は感染しても症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともあります。
 現在、日本国内でのジカ熱の感染は報告されていませんが、今後、中南米など現在ジカ熱が流行している地域に渡航される予定の方々は、現地において、蚊に刺されないよう予防対策に努めてください。また、性行為感染のリスクもありますので注意しましょう。
 妊婦の方及び妊娠の可能性のある方は、流行地域への渡航について慎重に検討ください。
 ジカウイルスが感染することによりおこる感染症で、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
 ジカ熱は、感染しても 症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともあります。症状は軽く、2〜7日続いた後に治り、予後は比較的良好な感染症です。治療方法については、ウイルスに対する特有の薬はなく、対症療法となります。
 また、ジカウイルスは母体から胎児への垂直感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性あります。
 ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します(蚊媒介性)。感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありませが、輸血や性行為によって感染する場合もあります。また、感染して全員が発症するわけではなく、症状がないか、症状が軽いため気付かないこともあります。

アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で発生があります。特に、近年は中南米等で流行しています。

米国 CDC 報告の発生地域( 2016 年5月12 日現在)、タイ、フィリピン及びベトナム
※ただし、標高2000mの地域はリスクが低いとされています。

○中南米・カリブ海地域
アルバ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、 サン・バルテルミー島、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、スリナム、トリニダード・トバゴ、米領バージン諸島、ベネズエラ
○オセアニア太平洋諸島
米領サモア、フィジー、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、パプアニューギニア、サモア、トンガ
○アフリカ
カーボベルデ
○アジア地域
タイ、フィリピン、ベトナム
 
最新の情報は、厚生労働省ホームページで確認お願いします。
 日本にはジカ熱の媒介蚊であるヒトスジシマカが日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)に生息しています。このことから、仮に流行地でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合に、感染する可能性は低いながらもあり得ます。ただし、仮にそのようなことが起きたとしても、その蚊は冬を越えて生息できず、限定された場所での一過性の感染と考えられます。なお、ヒトスジシマカは、日中、野外での活動性が高く、活動範囲は50〜100メートル程度です。国内の活動時期は概ね5月中旬〜10月下旬頃までです。
 現在、海外の流行地で感染し、発症した症例が、 2013 年以降、8例国内で見つかっていますが日本国内で感染した症例はありません。
 ジカ熱に有効なワクチン(予防接種)はありません。
 海外の流行地にでかける際は、蚊に刺されないように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども現地では利用されています。
 妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、妊婦及び妊娠の可能性がある方については、流行地への渡航を控えた方がよいとされています。やむを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を講じることが必要です。
 また、流行地域から帰国した男性で、妊娠中のパートナーがいる場合は、パートナーの妊娠中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際に、コンドームを使用することを推奨します。
 性行為による男性から女性パートナーへの感染事例が報告されています。また、女性から男性パートナーへの性行為による感染を示唆する報告もあります。性行為感染及び母体から胎児への感染のリスクを考慮し、流行地域に滞在中は症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること、流行地域から帰国した男女は、症状の有無にかかわらず、最低8週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際に、コンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。
 ブラジル保健省は、妊娠中のジカ熱感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしており、 2016 年1月 15 日には、米国 CDC が、妊娠中のジカ熱感染に関してより詳細な調査結果が得られるまでは、流行国地域への妊婦の方の渡航を控えるよう警告を発出しました。
 WHOは3月31日、米国CDCは4月13日、これまでの研究結果から、ジカウイルス感染が小頭症の原因となるとの科学的同意が得られたと結論付けました。
 なお、現在、小頭症や他の神経障害とジカウイルスの関連について更なる調査が行われています。
 すべての蚊がジカウイルスを保有している訳ではないので、蚊に刺されたことだけで過分に心配する必要はありません。
 心配な場合は、帰国された際に、空港等の検疫所でご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、保健所に御相談ください。なお、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。

ジカ熱について(厚生労働省)

ジカ熱のリスクアセスメント(国立感染症研究所)

ジカ熱Q&A(厚生労働省)

ジカ熱を正しく知りましょう(ポスター)

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