和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center
2010年
5類感染症:定点把握
第36週(9月6日〜9月13日)

2010年36Wの和歌山市の5類感染症(定点把握)の発生状況です。

3類感染症:定点把握
第36週(9月6日〜9月13日)
2010年36Wの和歌山市の5類感染症(全数把握)の発生状況です。
インフルエンザ
再流行に備えよう!

[新型インフルエンザの流行状況]
2009年5月、新型インフルエンザ(H1N1)の国内発生例があり、5月27日には和歌山市内で初めて新型インフルエンザ感染者が確認されました。6月後半以降は、全国的に感染者の確認が続き、集団感染事例も多数発生しました。第33週には、定点当たり1.69と増加し、流行の入口に達したと国は発表しました。
和歌山市でも、第35週に定点当たり報告数1.33と全国より2週遅れて流行が始まりました。第42週(10/12-)に15.67で注意報発令、第46週(11/9-)に31.4で警報発令となり、第47週(11/16-)はさらに35.8に増加しピークを迎えました。第48週以降はやや減少傾向にあり、第53週(12/28-)114件(7.60)→第1週(1/4-)88件(5.87)と緩やかに減少しました。新学期が再開後、一時期は増加傾向を示していましたが、第4週以降減少傾向で第17週(4/26-)以降は0件が続いていました。今回、第36週(9/6-)に3件(0.2)のインフルエンザの報告がありました。渡航歴のある患者を初発とする家族内発生でA型/H3香港型の季節性インフルエンザでした。それ以上の広がりを見せる様子は現在のところありません。



新型インフルエンザについては今後も特に集団生活の中で、未罹患者を中心に感染拡大する可能性がありますので、健康管理に十分注意しましょう。今冬には、未罹患者を中心に再流行が懸念されます。


今後も、手洗いの励行、有症状時のマスクの着用・咳エチケットの徹底等の感染防止策を継続して実施しましょう。また、未罹患の方でワクチン接種がまだの方は接種を検討しましょう。



【インフルエンザ(新型・季節性)の感染予防】
また、新型インフルエンザの予防にも、日頃のインフルエンザ予防策が有効です。普段から手洗いの励行による感染予防を心がけましょう。また、咳・くしゃみが出たら他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう(「咳エチケット」)。医療機関を受診する際には、必ず、医療機関への事前連絡とマスク着用を守りましょう。『電話で連絡・マスクで受診』

[新型インフルエンザワクチン]
新型インフルエンザに対するワクチン接種は、2009年10月19日から医療従事者への接種が始まりました。また、妊婦及び基礎疾患を有する方のうち最優先の方への接種が10月末から可能となり、11月16日から本格的に始まりました。以降、順次接種が進められました。和歌山市では、2010年3月末までに、総数83,727件の接種が実施されました。2010年9月30日まで現在の制度が継続されますので、接種を希望される方は、かかりつけ医療機関等に相談してください。
新型インフルエンザワクチンは、重症化防止と死亡者の減少を目的に接種されるものです。ワクチンの有効性と安全性(副作用等)を十分確認してください。



[季節性インフルエンザワクチン]

季節性インフルエンザに関しては例年通り65歳以上の方、あるいは60〜65歳の方で心臓、腎臓、呼吸器などに重篤な基礎疾患をもつ方を除いては任意接種になりますが、本格的シーズンとなる12月までの接種が勧められます。毎年ワクチン接種するよう心がけましょう。



[2010年のインフルエンザワクチンについて]

2010年のインフルエンザワクチンは、昨年流行した新型インフルエンザ(A/H1N1)pdmと季節性インフルエンザのA香港型及びB型の3価ワクチンが製造されています。接種対象者は全市民となります。また、新型インフルエンザ(A/H1N1)pdmの単価ワクチンも希望により接種可能です。
 ワクチンについては10月1より接種が可能となります。詳しくは「H22年度インフルエンザワクチン接種について」をご覧下さい。


感染性胃腸炎
少ない状況続く!

「感染性胃腸炎」は小児に好発するロタウィルス腸炎やノロウィルス感染症にみられるように,冬季〜春先に大流行します。
今シーズン(2009−2010年)は、非常に少ない状況が続いていましたが、例年より遅れて、第51週以降増加傾向となり、第4週202件、第5週205件と急増しました。
以後徐々に減少しましたが、第20-24週には100件前後の報告がありました。第25週以降は50件以下です。第36週は35件でした。年齢別では幼児と小学生での報告が中心です。
学校等の子どもの集団生活の場や高齢者の施設等では、集団感染事例も発生も見られます。報告数は減少していますが、油断せず、特に集団生活の場での感染拡大防止対策を徹底しましょう。
ノロウィルス等には塩素系の消毒剤が有効です。嘔吐物や下痢便の処理は衛生的に取り扱い、汚れた場所や衣類等は熱湯や塩素系消毒剤で消毒しましょう。
また、ウイルス性腸炎のみならず、サルモネラや腸炎ビブリオ、キャンピロバクターや黄色ブドウ球菌、旅行者下痢症(大腸菌感染が多い)などの細菌性腸炎にも注意が必要です。これらは主に食中毒として発生します。調理前後や食事前には「手洗い」を励行し、食品の冷所保存を心がけ、長期保存は避けるなど、日常生活での予防を心がけて下さい。また嘔吐・下痢などの症状があるときには、十分に水分補給をし、症状がひどくて水分も摂れない場合には医療機関を受診して下さい。

手足口病
終息傾向

手足口病は、ヘルパンギーナ同様、7月の第1週をピークとする流行が特徴的です。年によっては、初冬まで発生が続くことや、逆に殆ど発生が見られないこともあります。和歌山市では、2009年は殆ど1年間報告がありませんでした。
2010年は、第10週まで2件以内、第11〜14週では10〜12件、第15週から第17週にかけて44件(定点当り4.89)まで急増し、例年と比べて非常に早い立ち上がりとなっています。第18週は17件(定点当り1.89)と減少していますが、これは大型連休の期間中に各機関からの報告数が減少した影響と考えられます。第20週には45件(定点当り5.00)まで増加し、警報が発令されました。第23週には25件に減少し、第24-28週は20件前後でしたが、以降減少し、第31週5件、第32週1件と終息傾向で、第33週は9件とやや増加が見られたものの、第36週は2件でした。
 手足口病は、手掌、足底、臀部に出現する特有の皮膚所見(斑状丘疹→水疱)と口腔内の粘膜に出現する2〜5mm程度の水疱または発赤疹が特徴です。

ヘルパンギーナ
流行は終息

ヘルパンギーナは手足口病と並んで毎年夏季を中心として主に乳幼児の間で流行するエンテロウイルス感染症の代表的疾患です。症状は、「突然の高熱での発症」と「口蓋垂付近の水疱疹や潰瘍や発赤」が特徴です。毎年第22〜23週(5月末〜6月初め)に流行レベルの基準値である定点当たり1.0人を超えた後に急増し、7月にピークを迎えます。患者の年齢は過去20年以上大きな変化はみられず、1〜4歳が約7割と大半を占めます。6歳以上は少なくなっています。
2009年は、例年より遅くに小さな流行がみられたのみでした。
2010年は、第15週の5件以降少数報告が認められていましたが、第21週13件から徐々に増加し、第27週には65件とピークを迎え警報発令されましたがそれ以降は漸減傾向です。第33週以降は10件未満で、第36週1件でした。流行は終息の模様です。

水痘
減少傾向!

2009年は比較的少ない状況で推移していましたが、年末には例年の推移に沿いながら増加傾向でした。2010年では、例年に比べて低めの発生状況でしたが、第9週以降増加傾向にあり、第13週に48件でピークを迎えましたが、その後は20〜30件前後で増減を繰り返しつつ減少傾向です。第33週からは10件未満で推移しています。第36週は7件でした。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
増減繰り返す!

流行性耳下腺炎は約4年ごとに流行する傾向がみられています。
和歌山市では、2006年では第10週をピークに流行が続きましたが、2007年・2008年は大きな流行がなく少数報告にとどまりました。2009年は、第30〜32週ごろをピークに緩やかな流行を示しました。2010年は、第1週が15件で、一旦減少した後、第7週以降は増減を繰り返しつつおおむね10-20件前後でほぼ横ばいの傾向です。第36週18件でした。今後もしばらく注意が必要です。  本感染症は、髄膜炎、精巣炎、難聴、膵炎といった合併症があります。熱が続く場合、頭痛、吐き気がある場合、難聴、腹痛がある場合などは医療機関を早めに受診しましょう。抗ウイルス薬は開発されておらず、ワクチンの予防(任意接種)が効果的です。2〜5歳が好発年齢なので、1歳〜集団生活を始める前までの接種が勧められます。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
報告数少ない。

2009年は2008年同様、第8週前後と第22週前後に2つのピークを形成し、その後は減少して第32週以降は0〜4件で推移しました。
2010年は、ほぼ10件以内の報告で推移しています。第30週は6件でした。
本感染症は、治療が十分に行われないと劇症化したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を発症したりすることがあるので、早期診断、適切な治療(抗生剤投与)が必要です。劇症型感染の発症機序は明らかでなく、有効な予防対策や拡大防止策はありません。突然の発熱、咽頭痛、筋肉痛、発疹などがある場合、早期受診を心がけましょう。一般的には小児に多いですが、成人でも発症します。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症の流行は毎年冬で、特に乳幼児(特に6ヶ月未満)に中心にみられる肺炎、気管支炎などの急性下気道感染症です。ロタウイルス腸炎と並んで、冬季に流行する乳幼児に多い感染症です。乳幼児で鼻水、咳、発熱などの風邪症状に加えヒューヒュー、ゼーゼーというような「喘鳴」が聞かれる場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
2009年〜2010年シーズンでは、第41週以降報告が続き、第51週10件から第52週22件と急増しています。2010年に入り、第5週の30件をピークに以後徐々に減少、第11週以降は3件以下に収束しました。第33週以降は0件が続いています。
うがい、手洗いによる感染予防を行いましょう。また、初発時は発症して1週〜10日間ほどはウイルスが気道分泌物内に存在しており、手や持ち物を介しての集団発生も認められるため、感染者がいる場合は接触を避けることも重要です。

麻しん・風しん
第5類感染症全数把握

麻しん・風しんが、2008年1月1日より全数把握疾患となりました。
麻しんは2008年23件、2009年6件でした。
風しんは2008年2件、2009年1件でした。
2010年は第35週までに、麻しんの報告1件あり。風しんの報告はありません。

風しん
2010年:報告なし

<和歌山市の状況>
風疹は,和歌山市内では,定点報告で、2004年7件,2005年4件でした。以降、和歌山県の全数報告事業でも報告は0でした。
2008年は、第3週(16歳)、第22週(70歳代)の計2件の報告でした。
2009年は、第17週で初めての報告。11歳です。単抗原ワクチン接種済みでした。

麻しん
2010年:1件のみ

<和歌山市の状況>
2007年は、第19〜23週に計10件の報告がありました。
2008年は、第10〜46週に計23件、2009年は、第16〜24週に計6件でした。
2010年は、第22週に1件報告がありました。
2008年、2009年、2010年の年齢別の届出状況は次のとおりです。

  年齢区分
0歳 1歳 5歳 10歳 15歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳
2008年 3/3〜11/10 0 6 2 7 6 0 0 1 0 1 23
2009年   6                 6
2010年         1            

<麻しんの特徴>
麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、10日前後の潜伏期を経て発症し、発熱・咳・鼻水・眼脂・結膜充血等のカタル期(2〜4日)、発疹期(3〜5日)、回復期へと続いていくウイルス感染症です。感染期間としては、カタル期から発疹後4〜5日までウイルスの排出の可能性があります。

なお、患者との接触から3日以内であれば、麻しんワクチンの接種により感染を予防できる可能性があります。早期診断と接触者への迅速な対応が重要です。



<麻しんのウイルス診断>
2015年の麻しん征圧を目指して、様々な取り組みが実施されていますが、診断精度をより高めるために、麻しん(疑い)と診断された場合、ウイルスPCR検査を全例に実施しています。咽頭ぬぐい液及び血液の採取にご協力ください。

<市民のみなさま・特に子育て中の保護者のみなさまへのメッセージ>
麻しんの予防には、予防接種の徹底が何より重要です。【Stop 麻しん・風しん】を参照。お子様が満1歳になりましたら先ず麻しんワクチン(=麻しん・風しん混合ワクチン)を接種しましょう。また、就学前の1年間の2回目の接種も忘れずうけましょう。
平成20年度から5年間、中学1年生及び高校3年生相当の方も麻しん風しん混合ワクチンの接種対象となりました。対象者の方が接種できる期間は、それぞれ1年間のみです。早めに接種しましょう。

<若年成人の方へのメッセージ>
ワクチン接種率が向上し,罹患者は減ったものの,接種漏れなどで免疫のない人がかかると重症化する恐れがあります。現在の20歳代及び10歳代後半の若年者は、ワクチンの接種率が低く、また、接種者でも接種から10年以上が経過し抗体価が低下している場合もあるため、感染者が多くでています。接種歴のない方や抗体価が低い場合は、ワクチン接種が必要です。
機会を見て、ワクチン接種(任意接種)をうけましょう。


また、発熱等の症状があった場合には、医療機関を受診し、診断をうけましょう。発熱等があるときに無理して職場や学校等へ行くことは、感染性の疾患であった場合、感染拡大につながりますので控えてください。
Stop 麻しん・風しん = 「予防接種」は最も有効で積極的な予防法!!

麻しん・風しんの予防接種は,平成18年4月1日より,次のとおりです。
第1期 満1歳〜満2歳になるまでの間に1回
第2期 満5歳〜7歳未満で,小学校入学日の1年前の日から小学校入学前日までの間に1回


いずれも,「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種しますが,いずれか一方の既往歴がある場合等には,「麻しん単抗原ワクチン」もしくは「風しん単抗原ワクチン」を接種します。1回接種では、将来抗体価の低下が危惧されます。目標は95%以上。第2期を忘れず接種しましょう。平成21年度の接種率は第1期:94.4%・第2期:94.3%と、目標を下回っています。
麻しん排除計画」の一環として、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、麻しん・風しんの予防接種 第3期・第4期が実施されています。

第3期 中学1年生で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種
第4期 高校3年生相当で 「麻しん風しん混合ワクチン」を1回接種


いずれも95%以上の接種率を目標とし、麻しん・風しんの排除を目指しています。
このことにより 平成2年4月2日以降に出生したものは、高校卒業までに麻しん・風しんワクチンの2回接種が完了することになります。


しかし、平成21年度の接種率は、第3期90.6%、第4期81.2%と平成20年度より向上しましたが、目標の95%をかなり下回っています。
風しんと先天性風しん症候群の予防について

ワクチン未接種で罹患したこともない女性が妊娠初期に風疹に罹患したときにウイルスが胎児に感染し,出生児に「先天性風疹症候群」を起こすことがあります。この先天性風疹症候群は「感音性難聴」,「白内障または緑内障」,「心疾患」が3主徴で,通常妊娠第16週までに起ることが殆どです。
 感染症法では,「先天性風しん症候群」は全数把握となっていますが,今まで1年に全国で1件以内だったのが,2004年では,9件の報告がありました。
和歌山市内では1999年以降,「先天性風疹症候群」の報告はありません。
 また,「風疹」は,和歌山市内では,2004年7件,2005年4件の報告でした。2008年第3週で5年ぶりに1件の報告があり年間で2件でした。
非流行時から妊娠可能年齢の女性の積極的な予防接種が重要です。また,流行阻止のために,ワクチン接種歴がなく,罹患もしていない人は,男女とも予防接種(任意接種)を受けることが望まれます。

 なお,妊娠可能な女性については,ワクチン接種後2か月間の避妊が必要です。
これまでの注目の感染症
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